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CRE戦略とは何か ~企業価値を高める「企業不動産戦略」の全体像~

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CRE戦略とは何か

CRE戦略とは何か ~企業価値を高める「企業不動産戦略」の全体像~

2026/03/09

自社が保有する不動産を、あなたはどう位置づけているか。

「本社」「工場」「倉庫」——そう答えるなら、その不動産は「インフラ」として管理されているに過ぎない。しかし経営の視点に立てば、不動産は財務・資本効率・事業承継・成長投資に直結する「戦略資産」である。この認識の差が、企業価値に大きな格差を生む。本記事では、CRE戦略を実務の視点から体系的に解説する。

【この記事でわかること】

  • CRE戦略(企業不動産戦略)の定義と概要
  • なぜ今 CRE戦略が必要なのか、その構造的背景
  • 企業が抱える典型的な不動産問題
  • CRE戦略の基本フレームと代表的手法
  • 自社に CRE戦略が必要かどうかのチェックリスト
  • 土地活用・不動産売却との違いと比較
  • よくある質問(FAQ)

1|CRE戦略とは何か

CREとは「Corporate Real Estate(企業不動産)」の略称であり、CRE戦略とは企業が保有・利用する不動産を経営戦略の視点から最適化する取り組みを指す。

企業不動産には次のような資産が含まれる。

  • 本社ビル・社屋
  • 工場・物流施設
  • 店舗・サービス拠点
  • 賃貸不動産・投資物件
  • 遊休地・旧工場跡地

従来の日本企業では、これらは「固定資産」として財務部門が管理するものであり、経営戦略と切り離されて扱われてきた。しかし現在、不動産は「企業価値に直結する戦略資産」として再定義されつつある。

 

■ CRE戦略の本質

不動産を「コスト・設備」として管理するのではなく、

「経営・財務・資本効率」の観点から設計・最適化すること。

それが CRE戦略の核心である。

 

企業が保有する不動産は、一般に「企業不動産(Corporate Real Estate)」と呼ばれます。企業不動産の具体的な定義や特徴については別記事で詳しく解説しています。

▶ 企業不動産とは何か


2|なぜ今、CRE戦略が必要なのか

CRE戦略への注目が高まっている背景には、三つの構造的要因がある。

 

① 企業資産に占める不動産の比率

多くの中堅・中小企業では、総資産の相当部分を不動産が占めている。本社土地・工場用地・遊休地などが長年にわたって保有され、多額の含み益を抱えながらも「整理されないまま」放置されているケースは珍しくない。問題は、これらの不動産が経営戦略と連動していない点にある。

 

② 資本効率への経営意識の高まり

ROA(総資産利益率)・ROIC(投下資本利益率)など、資本効率を重視する経営指標が中小企業においても普及しつつある。不動産は多額の資産を占めるがゆえに、その活用効率が企業の資本効率に直接影響する。

問題 
内容
遊休不動産の保有
資産は大きいが収益を生まない
→ ROAが低下 → 企業評価が下がる
CRE戦略による改善
不動産を売却・活用・建替え
→ 資本効率向上 → 企業価値が上がる

③ 事業承継・相続における不動産問題

中小企業において不動産は、自社株評価・相続税・事業承継の三点に密接に絡む。本社不動産や賃貸不動産の評価が高い企業では、後継者への自社株承継時の税負担が過大になる。「不動産をどう整理するか」は、経営者交代という最重要局面における財務戦略の核心である。

企業不動産は、事業承継や相続の場面でも大きな影響を与えます。
特に自社株評価や相続税の観点では重要なテーマです。
詳しくは別記事で解説しています。


3|企業が抱える典型的な不動産問題

CRE戦略の出発点は「現状把握」である。多くの企業において、次の三つの問題が共通して見られる。

 

問題① 遊休不動産の存在

工場跡地・未利用地・低稼働の賃貸物件など、収益を生まないまま固定資産税と維持管理コストだけがかかる不動産が存在する。これらは「売れないから持ち続ける」という惰性で保有されていることが多い。

 

企業が保有する不動産は資産価値を持つ一方で、老朽化・遊休化・固定資産税負担などさまざまなリスクも存在します。詳しくは別記事で解説しています。

▶ 企業不動産のリスク

 

企業が保有する土地の中には、現在利用されていない遊休不動産が存在するケースも少なくありません。整理や活用方法については別記事で詳しく解説しています。

▶ 遊休不動産とは何か

 

問題② 老朽化施設のリスク

高度成長期に建設された工場・社屋・倉庫は、築40年以上のものも多い。耐震基準の不適合・設備劣化・維持コストの増大という三重のリスクを抱えながら、建替えの意思決定が先送りされているケースが目立つ。

 

問題③ 含み益による意思決定の停滞

長期保有の土地には多額の含み益が存在することが多い。しかし「売却すると多額の課税が発生する」という心理的障壁から、不動産の活用・整理に踏み出せない企業経営者は少なくない。このような問題を整理し、具体的な戦略に落とし込む思考フレームこそが CRE戦略である。


4|CRE戦略の基本フレーム

CRE戦略では、保有する不動産をまず「機能」で分類する。

分類
概要・戦略
事業不動産
本業に直結する不動産(本社・工場・店舗・物流施設)
→ 立地・機能・コスト効率を最適化
非事業不動産
本業と直接関係しない不動産(遊休地・旧跡地・投資物件)
→ 売却・活用・建替えで資本効率を改善
資本効率評価
各不動産が企業価値にどれだけ貢献しているかを測定
→ 収益性・成長性・リスクの三軸で評価

この分類を行うだけで、「保有すべき不動産」と「手放すべき不動産」の判断軸が明確になる。多くの企業では、この基本分類すら行われていないことが問題の根本にある。

 

CRE戦略では、個々の不動産だけでなく、企業が保有する不動産全体をポートフォリオとして管理する視点が重要です。不動産ポートフォリオの考え方については別記事で詳しく解説しています。

▶ 企業不動産ポートフォリオ戦略

5|資本効率と不動産の関係

不動産は企業のバランスシート上で大きな比重を占めるため、その活用効率が資本効率に直結する。

例として、総資資産50億円の中小企業において、不動産が30億円を占めているとする。そのうち10億円が遊休不動産であれば、その企業のROAは実力値より低く抑えられている。CRE戦略によって遊休不動産を活用・売却し資本を圧縮すれば、同じ利益でもROAは向上する。これは「不動産問題」ではなく「経営課題」として捉えるべきものだ。

 

■ ROA改善のメカニズム

 遊休不動産の売却 → 総資産の圧縮 → ROAの向上

 不動産の事業化  → 収益増加 → ROAの向上

どちらのアプローチでも、資本効率は改善できる。

▶ 企業不動産とROA

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