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企業不動産とROA|不動産が資本効率を下げる理由と保有・賃借の戦略

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企業不動産とROA

企業不動産とROA|不動産が資本効率を下げる理由と保有・賃借の戦略

2026/04/27

はじめに

多くの企業が不動産を保有しています。しかし、その不動産が自社の資本効率にどのような影響を与えているかを正確に把握している経営者は多くありません。

不動産は「事業の基盤」「安定資産」として認識されがちですが、一方でバランスシートに固定された重い資産でもあります。さらにこの議論は、「不動産を持つべきか、借りるべきか」という経営の根幹に関わる判断へと直結します。

本記事ではROAを軸に、企業不動産が経営に与える構造的影響、保有と賃借のトレードオフ、そして改善の方向性を体系的に整理します。

なお、企業不動産の基本的な定義については 「企業不動産(CRE)とは何か」 を先にお読みください。

目次


    ROAとは何か

    ROA(Return on Assets)は、企業が保有する総資産に対してどれだけの利益を生み出しているかを示す指標です。

    (※営業利益ベースで算出する場合もある)

    例えば、総資産100億円の企業が5億円の利益を出していればROAは5%です。この数値が高いほど、資産が効率的に活用されていることを意味します。

    なぜROAが経営上重要なのか

    ROAは経営効率を測る最もシンプルかつ本質的な指標のひとつです。投資家・銀行・格付機関はこの数値を重視します。

    ROAが高い企業
    ROAが低い企業
    ・少ない資産で大きな利益を創出
    ・資本市場から高評価を得やすい
    ・資金調達コストの低減につながる 
    ・資産が利益に結びついていない
    ・「持ちすぎ」の状態が疑われる
    ・投資家・金融機関から懸念を持たれる 

    特に東証の「資本コストと株価を意識した経営」の要請以降、ROAをはじめとする資本効率指標への注目度は急速に高まっています。

    不動産がROAに与える3つの構造的影響

    不動産はROAの計算式における「分母(総資産)」と「分子(利益)」の両方に影響を与えます。

    不動産の状態
    総資産への影響
    ROAへの影響
    収益不動産(稼働中)
    増加
    改善寄与
    (収益性による)
    遊休・低稼働不動産
    増加
    悪化(要対処)
    賃借
    増加なし
    改善方向※

    ※会計基準により影響は異なる

    ① 総資産を増加させる(分母の膨張)

    土地・建物・構築物はバランスシート上に多額の資産として計上されます。これによりROAの分母が大きくなり、比率が下がります。

     

    ② 利益に直結しない資産が生まれる(分子の停滞)

    稼働していない遊休不動産・低稼働の保有資産は、固定資産税や維持管理費だけを生み出し、利益には貢献しません。分子が増えないまま分母が膨らむという構造的な悪化です。

     

    ③ ROAが構造的に低下する

    総資産↑ × 利益→ = ROA 低下

    これは「不動産を持つこと」が悪いのではなく、活用されない不動産を持ち続けることが問題です。

    不動産は持つべきか、借りるべきか

    ROAの観点だけを見れば、不動産を保有しない方が資本効率は高くなります。しかし実務では、それほど単純ではありません。保有・賃借にはそれぞれ異なるメリットとリスクが存在します。

    観点
    保有のメリット
    賃借のメリット
    コスト構造
    長期的に賃料より安定
    初期投資を抑制、資金を事業へ集中
    財務・担保
    金融機関への担保力を確保
    資産を持たずROAを改善
    事業リスク
    退去・賃料上昇リスクを回避
    移転・再編が容易で柔軟性確保
    ROA影響
    総資産増加 → ROA低下傾向
    オフバランス → ROA改善

    判断基準(実務上のポイント)

    • コア事業への直結度(本社・工場・物流拠点 等)
    • 現在の成長フェーズ(拡張期か安定期か)
    • 財務戦略・資金調達方針(担保需要の有無)
    • 市場環境(賃料水準・不動産市況)

    重要な視点:

    「すべて持つ」でも「すべて借りる」でもなく、どの不動産を持つかを戦略的に選択することが経営の核心です。

    遊休不動産との関係

    ROAに最も深刻な影響を与えるのが遊休不動産です。使われていない土地・建物は以下の二重の問題を生みます。

    • 資産として計上され、分母を押し上げる
    • 収益を生まないため、分子には寄与しない
    • 固定資産税・管理費が継続発生し、利益を圧迫する

    遊休不動産はROAに対して最も非効率な資産です。

     ★ 詳細は 「遊休不動産とは何か」 をご参照ください。

    ROA改善のための戦略的選択肢

    ROAを改善するための手段は「売れば終わり」ではありません。企業の状況・事業戦略に応じた戦略的な資産再設計が求められます。

    打ち手
    効果
    ROA改善メカニズム
    売却・譲渡
    総資産の圧縮
    分母↓ → ROA↑
    賃貸化・建て貸し
    遊休資産の収益転換
    分子↑ → ROA
    売却+リースバック
    オフバランス化+資金化
    分母↓・分子↑ → 大幅改善

    ● CRE戦略・IRESとの統合が鍵

    個別の売却・活用にとどまらず、企業不動産全体をポートフォリオとして管理し、事業戦略・財務戦略と整合させることが重要です。これがCRE(Corporate Real Estate)戦略の本質です。

    さらに当社が提唱するIRES(Integrated Real Estate Strategy)では、CRE戦略をPM・財務・事業計画と統合し、資本効率の最大化を体系的に実現します。

     ★ 詳細は 「CRE戦略とは何か」 をご参照ください。


    まとめ

    不動産は企業にとって重要な資産ですが、その保有の仕方次第でROAを大きく左右します。

    【本記事のポイント】

    不動産は総資産(ROAの分母)を増加させる。活用されない不動産は利益(分子)を増やさない。結果として、ROAが構造的に低下する。単純売却ではなく、保有・賃借・活用の戦略的設計が重要。CRE戦略・IRESにより、不動産を経営資産として再定義し、資本効率を最大化する。


    ご相談・お問い合わせ

    「自社の不動産はROAを下げていないか?」

    こう感じている経営者・CFO・CRE担当者の方は、ぜひ Athena Partners にご相談ください。CRE戦略・IRES(統合不動産戦略)の視点から、企業不動産の整理・資本効率改善・遊休資産活用・建て貸し等を幅広く支援しています。

    • 遊休不動産・低稼働資産の整理
    • 保有vs賃借の戦略的設計
    • 建て貸し・賃貸化による収益転換
    • CRE戦略の策定・実行支援

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