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本社ビルは購入か賃貸か?自社ビル・賃借・ハイブリッドを7つの判断軸で比較

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IL06-2_本社ビルは購入か賃貸か?自社ビル・賃借・ハイブリッドを7つの判断軸で比較

IL06-2_本社ビルは購入か賃貸か?自社ビル・賃借・ハイブリッドを7つの判断軸で比較

2026/08/31

結論

この記事の要点

本社ビルを「購入か賃借か」だけで判断してはいけません。

比較すべきなのは、

自社保有」「賃借」「ハイブリッド

という3つの方式です。

 

そして判断には、

事業安定性・資本効率・柔軟性・総コスト・ブランド・BCP・出口

という7つの軸を使います。

ただし、7項目を単純に点数化して答えを出すものではありません。

企業の成長段階と経営戦略によって、何を重視すべきかが変わるからです。

前編「本社ビルを持つことは本当に経営に有利なのか」では、本社ビル所有の信用・象徴性と、資本固定という側面を整理しました。

後編では、その先にある「では何で比較するのか」に答えます。

はじめに

同じ本社でも、会社によって答えは違う

前編では、自社ビルを持つことの信用や象徴性を認めながら、一方で多額の資本を固定するという側面を整理しました。

では、自社ビルを持つべき会社と、賃借した方がよい会社は、何が違うのでしょうか。

  • 長期間事業規模が安定している企業
  • 急速に成長している企業
  • 事業再編を控えている企業

同じ本社ビルを検討していても、最適な答えは異なるはずです。だからこそ、本社戦略では、

「どちらが一般的に得か」ではなく、「自社にはどの形が合うか」

を考える必要があります。


目次

    本社戦略に一つの正解はない

    自社ビルのメリット・デメリットを検索すると、さまざまな情報が出てきます。しかし、それを読んでも最終的に「結局どちらがよいのか」分からなくなることがあります。それは当然です。企業ごとに状況が違うからです。

    • 成長企業と成熟企業では、本社に求める柔軟性が異なる
    • 自己資金に余裕のある会社と、成長投資へ資金を集中したい会社では、資本拘束の意味が異なる
    • 本社が顧客との接点になる企業と、ほとんど顧客来訪がない企業では、ブランド面の価値も異なる

    つまり、本社戦略には企業共通の正解は存在しません。あるのは、自社の経営戦略に最も適した答えです。

    自社保有・賃借・ハイブリッドという3つの選択肢

    まず、3方式を改めて整理します。

     

    自社保有

    自社で土地・建物を保有し、本社として使用する方式です。安定した長期利用がしやすく、自社独自の本社を構築しやすい一方、多額の資本を不動産へ固定します。

     

    賃借

    外部所有者からオフィスを借りる方式です。多額の不動産取得資金を必要とせず、組織規模の変化に合わせて移転・増減を検討しやすいのが特徴です。一方、継続的な賃料負担や契約上の制約があります。

     

    ハイブリッド

    自社保有と賃借を組み合わせます。

    • 中核となる本社機能は保有する一方、変化が大きい部門は賃借する
    • 本社をコンパクトに保有し、営業・プロジェクト・地域拠点を賃借する

     

    添付骨子では、この「二択ではないこと自体が第6回の重要なメッセージになっています。

    本社を比較する7つの判断軸

    ① 事業安定性

    本社を長期にわたって安定して利用できることを、どの程度重視するか。本社機能を頻繁に移すことが事業上難しい企業では、安定性の価値は高くなります。一方、事業環境の変化が大きい企業では、固定された拠点が必ずしもメリットとは限りません。

     

    ② 資本効率

    本社へ投じる資本は、会社にとって最適な資本配分なのか。不動産へ投資すれば、その資金は他の事業投資には使えません。そのため、本社を所有することで得られる価値と、資金を本業へ振り向けた場合の価値を比較する必要があります。ただし、資本効率だけで結論を出すものでもありません。本社が事業に不可欠なインフラであれば、数字だけでは評価できない価値があります。

     

    ③ 柔軟性

    会社の変化に、どこまで対応できるか。

    • 人員増加
    • 組織再編
    • M&A
    • 事業縮小
    • 働き方の変化

    こうした将来シナリオへの対応力です。成長速度や事業変化が大きい企業ほど、柔軟性の重要度は高くなります。

     

    ④ 総コスト

    所有と賃借を比較するときに、「購入価格」と「毎月の賃料」だけを比較してはいけません。保有であれば、取得・建築だけでなく維持管理や設備更新などがあります。賃借でも、賃料だけでなく、移転や契約に伴う費用が発生します。したがって、

    一定期間の総コストとして比較する

    必要があります。

     

    ⑤ ブランド

    本社は企業ブランドにどこまで寄与するか。これは業種によって大きく異なります。

    • 本社を顧客が頻繁に訪れる企業
    • 採用競争が激しい企業
    • 地域に根差して事業を行う企業

    このような企業では、本社の立地や空間が大きな意味を持つ場合があります。ただし、ブランド価値=自社所有ではありません。賃貸物件であっても、立地や空間設計によって企業ブランドを表現できます。

     

    ⑥ BCP

    本社機能が災害やその他の有事にどこまで耐えられるか。本社を一か所に集中させることには効率性がありますが、同時に集中リスクもあります。複数拠点やハイブリッドによって機能を分散する考え方もあります。したがって、平常時の効率と非常時の事業継続を両方見ることが必要です。

     

    ⑦ 出口

    自社保有の場合に特に重要なのが「出口」です。将来、この建物を本社として使わなくなったらどうするのか。

    • 売却できるのか
    • 第三者へ貸せるのか
    • 他用途へ転換できるのか

    本社専用に作り込みすぎれば、将来の用途変更が難しくなるリスクもあります。つまり、取得するときから、使わなくなるときまで考える。これが企業不動産の意思決定では重要です。

     

    この7軸は、第5回の企業不動産共通の評価軸とは別に、本社という資産に適用するための固有の判断軸として企画されています。

    自社保有・賃借・ハイブリッドを比較する

    概念的には、次のように整理できます。

    重要なのは、「○が多い方式を選ぶ」という使い方をしないことです。会社によって各判断軸の重みが異なります。

    成熟企業・成長企業・事業転換期では答えが変わる

    成熟企業

    組織規模が安定し、今後も長期間同じ地域・同程度の規模で事業を続ける企業。こうした企業では、安定性やブランドを重視して自社保有が合理的になる可能性があります。もちろん、資本状況や出口まで検討した上での判断です。

     

    成長企業

    事業規模や社員数が急速に変化している企業。数年後の必要面積すら読みづらい場合、現在の規模を前提として本社を固定することはリスクになります。また、本社取得より本業の成長へ資本を振り向ける方が重要なケースもあります。この場合、賃借やハイブリッドの柔軟性が意味を持ちます。

     

    事業転換期企業

    M&A、事業再編、承継、事業ポートフォリオ変更など、大きな転換期にある企業です。この場合、「今の本社をどうするか」から考えるのではなく、「事業転換後の会社に、どのような本社が必要なのか」から逆算する必要があります。

    添付企画書でも、成熟・成長・転換期という企業類型によって最適解が変わる構成が設定されています。

    本社戦略の意思決定手順

    では、実際にどう判断すればよいのでしょうか。IRESでは、いきなり物件を探したり、現在の本社を査定したりするところから始めません。

    1. 経営戦略を確認する
    2. 本社に求める役割を定義する
    3. 自社保有・賃借・ハイブリッドを7軸で比較する
    4. 5年後・10年後の将来シナリオでも成立するかを確認する
    5. 資金、物件、市場、移転スケジュールなどを踏まえて、実行可能性を検証する

     

    つまり、

    経営戦略 → 本社の役割 → 3方式 → 7軸比較 → 将来シナリオ → 実行可能性 → 意思決定

    という順番です。本社戦略は、「良い物件を探す」ことから始めるものではありません。

    6. 売却・移転・セールアンドリースバックはどう考えるか

    -手段ではなく目的から入る

    既に自社ビルを所有している場合には、さらに選択肢があります。

    • 現在の本社を売却し、別のオフィスへ移転する
    • 現在の本社を売却し、そのまま賃借して使用する(セールアンドリースバック)
    • 一部機能だけ別拠点へ移す

     

    ただし、これらもあくまで手段です。重要なのは、

    • なぜ本社に固定されている資本を解放するのか
    • なぜ移転するのか
    • なぜ現在地を使い続けるのか

    という経営目的です。したがって、「セールアンドリースバックをすればよい」「本社を売れば資本効率が改善する」と単純に考えるのではなく、会社全体への影響を比較する必要があります。

    IRESでは、本社を4つの価値から統合して見る

    今回の企画で非常に重要なのが、本社を単なる不動産価値だけで評価しないことです。

    IRESでは、

    • 不動産価値
    • 利用価値
    • 財務価値
    • 組織価値

    を分けて考え、それらを経営戦略の中で統合します。

    例えば、高く売れる本社だから売却が正解とは限りません。そこで働くことが組織や事業に大きな価値を生んでいる可能性があります。反対に、資産価値が高くても、現在の事業に適さず、巨額の資本を固定しているだけであれば見直し余地があります。

    だからこそ、本社ビルの価値=不動産価格ではありません。企業価値にどう貢献しているか。ここまで見ることが、本社戦略です。


    後編まとめ

    「所有か賃貸か」ではなく「どの本社戦略が自社に合うか」

    本社ビルには、一つの正解はありません。自社保有には安定性や象徴性があります。賃借には柔軟性や資本配分上の自由があります。ハイブリッドには、その両方を機能ごとに組み合わせる可能性があります。

    したがって重要なのは、購入価格と賃料だけを比較することではありません。

    自社の経営戦略を起点として、

    事業安定性、資本効率、柔軟性、総コスト、ブランド、BCP、出口

    を比較する。そして、自社の成長段階と将来シナリオに照らして判断する。

    これが、本社を「経営インフラ」として考えるIRESの基本です。


    YouTubeでも全体像を解説します

    IRES Legacy実践編 第6回のYouTube長尺では、「本社ビルは購入と賃借、どちらがよい?」という疑問から入り、保有・賃借・ハイブリッドを図解しながら比較しています。7つの判断軸の使い方も動画で解説していますので、あわせてご覧ください。

    (2026年9月1日公開予定)


    自社にとっての最適解を、7つの軸で一緒に整理しませんか

    7つの判断軸は、それぞれの重みを自社の経営戦略に照らして初めて意味を持ちます。数字や一般論だけでは、本社の最適解は出せません。

    Athena Partnersでは、IRESの考え方に基づき、

    事業安定性・資本効率・柔軟性・総コスト・ブランド・BCP・出口

     の7軸で

    「自社保有」・「賃借」・「ハイブリッド」

    を比較し、経営戦略に沿った本社の意思決定を支援しています。

    本社ビルの取得・保有継続・移転・セールアンドリースバックなど、大きな意思決定をする前に、一度ご相談ください。

    方針整理後、必要に応じて移転・売却・設計・建築等の実行段階まで伴走いたします。

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