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空き家の相続税対策の必要性

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空き家の相続税対策の必要性

空き家の相続税対策の必要性

2024/05/15

●社会問題化する「空き家

 先月末に速報値を公表された総務省の「住宅・土地統計調査(2023年)」によると、総住宅数のうち、空き家は900万戸、空き家率13.8%となり、2018年調査時点よりそれぞれ51万戸、0.2ポイント増加し、過去最高となりました。そのなかでも、特に社会問題として取り沙汰されている「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」率は全国平均で5.9%、385万戸もあるとのことです。

(老朽化して管理不良で募集しても入居者がいない、あるいは募集をしていない空き家の賃貸マンション・アパートはこの数に含まれていません。が、実際は相当数あることが想定されます。本来はこの問題も避けては通れないところだと思いますが、今回はこれには触れないことにします。)

 いうまでもなく、空き家を放置すると、倒壊、景観悪化、不法侵入、害虫発生、悪臭、治安悪化など様々な悪影響が生じる恐れがあり、大きなトラブルにつながりかねません。

 そこで、そのまま放置すれば倒壊などの危険性が高く、近隣に悪影響を及ぼす空き家を「特定空家」に認定し、市区町村による指導や勧告、解体などの強制執行を行うことができることを定めた「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下「空家法」といいます。)され、昨年改正され、空き家の除却(解体)・活用・適切な管理を推進するための措置が強化されることになりました。

●税制上の空き家対策

 現在の税制上の空家対策として、政府は次のアメとムチの制度を設けています。

 【アメ】①空き家の譲渡所得の3000万円特別控除

 【ムチ】②土地にかかる固定資産税等の特例措置の解除

 

それぞれもう少し詳しく解説します。

①空き家の譲渡所得の3000万円特別控除

相続日から起算して3年を経過する日の属する12月31日までに、被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、当該家屋又は取壊し後の土地を譲渡した場合には、当該家屋又は土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除できます。

家屋の要件として、

・昭和56年5月31日以前に建築された家屋 

・相続開始の直前に被相続人が老人ホーム等に入所していた場合、一定要件を満たせば適用対象なる  

などが挙げられます。

ただ、問題点を挙げるとすると、相続によって被相続人が居住できなくなった結果発生するであろう空き家は、この特例を適用することで一定数抑制できるかもしれませんが、空き家になってしまっている家屋を利活用するインセンティブにはならないことだと思います。

 

②土地にかかる固定資産税等の特例措置の解除

 土地や家屋を所有していると、固定資産税・都市計画税(地方税)がかかります。ただし、住宅やマンションなどの居住建物の敷地である「住宅用地」には、課税標準(固定資産税等の評価額)を引き下げる特例が設けられています。例えば固定資産税では課税標準が、住宅用地の面積200㎡以下の部分(小規模住宅用地)については6分の1に、面積200㎡を超える部分(一般住宅用地)については3分の1に減額されます。

固定資産税及び都市計画税の軽減措置

種類 小規模住宅用地(200㎡以下) 一般住宅用地(200㎡超)
固定資産税 課税標準の6分の1に減額 課税標準の3分の1に減額
都市計画税 課税標準の3分の1に減額 課税標準の3分の2に減額

 しかし、空家法に基づく勧告を受けた特定空家の敷地や、居住のために必要な管理がなされていない場合などで今後居住する見込みがない空き家の敷地には、この軽減措置は適用されなくなります。

 つまり、小規模住宅用地の固定資産税が6倍に跳ね上がることになり、利活用を促すペナルティとなりました。 これでは、空き家として保有しているメリットはなくなり、売却、リフォームして賃貸、解体して月極駐車場にするといった選択肢が考えられます。

●相続税対策の観点から空き家みると

前述の「②土地にかかる固定資産税等の特例措置の解除」に関連して、相続税に関わる生前対策はどのような影響がでるのでしょうか。

(1)売却

 前回記事のとおり、相場(公示価格)で売却した代金を現預金で保有した場合、その現預金残高が相続税評価額になります。一方、土地の相続税評価額は公示価格の80%程度となります。よって、相続税評価額としては、1.25倍程度上昇し、相続税対策としては逆効果になります。

(2)リフォーム・建て替えして賃貸

 これも前回記事の土地活用の応用版といえます。建物が「貸家」として評価され、借家権割合30%減できます。また、土地についても「建屋貸付地」評価となり、20%程度は評価減できます。さらに、リフォーム費用や建て替え費用を借入すると、さらにその分相続財産額から控除することができます。これは効果的な相続税対策となります。

(3)解体して駐車場(月極、コインパーキング)

 駐車場として利用している土地は、現況によりほとんどの場合、雑種地として評価することになるため、宅地評価よりも低くなる可能性があります。

また、駐車場の整備の仕方、構築物の有無、契約条件、管理方法などによって、いくつかの評価方法を適用することができ、その評価方法については別の機会に譲りますが、いずれにしても自用地としての価額に比べると圧縮でき、相続税対策にとってある程度有効といえるでしょう。

●まとめ

 空き家は大きな社会問題となり、近隣とのトラブルのきっかけとなりかねませんが、税金面でも様々な影響を受ける可能性があります。それは相続税においても同じで、放置しているとリスクが増大します。リフォームや建て替えなど早めに対策をとることが肝要です。

 空き家の有効活用の相談は、専門家である当社 アテナ・パートナーズ株式会社 へお気軽にご相談ください。

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