経営者が“今”動き出すべき実践行動計画 〜不動産をめぐる事業承継対策の総まとめ〜
2025/06/27
はじめに
不動産と事業承継は切り離せない
この連載では、中小企業のオーナー社長に向けて、事業承継における不動産の取り扱いについて、4回にわたって掘り下げてきました。最終回では、これまでの知見を総括するとともに、経営者が「今」取り組むべき具体的なアクションプランを提言します。
事業承継対策においては、金融資産の移転よりも、不動産の移転・活用の方が遥かに複雑で、かつ計画的な準備が必要です。不動産はその性質上、「すぐには動かせない資産」であり、戦略的な視点と専門的な支援が不可欠です。
承継時に慌てるのではなく、「今から5年、10年後」を見据え、着実に準備を進めること。それこそが、後継者にとっての円滑な経営継続を支える礎となるのです。
連載のポイント総まとめ
【第1話】不動産の棚卸しと基本確認事項 → 名義、使用実態、評価額、担保設定など、不動産情報の「可視化」と「整理」が第一歩。
【第2話】自社株評価における不動産対策 → 不動産の保有形態と評価額が、株価を大きく左右。収益還元法やスキームの工夫で株価圧縮も可能。
【第3話】法人所有の不動産をどう承継するか → 名義の見直し、移転タイミング、信託や管理会社など多様な選択肢を戦略的に設計すべき。
【第4話】不動産の棚卸しと評価プロセスの実務 → 実務的には、棚卸し → 評価 → 分類 → 組替えの4ステップが基本。早期対応がカギ。
実践行動計画
経営者がいま行うべき7つのステップ
【ステップ①】
全資産の棚卸しとマッピング まずは、自社とオーナー個人が保有する全ての不動産について、一覧化し、「誰が・何を・どこに・どう使っているか」を明確にします。帳簿に記載されている情報だけでなく、実態ベースでの使用状況や契約関係も把握することが重要です。
【ステップ②】
名義と活用状況のチェック 不動産の登記名義が法人か個人か、共有なのか、過去の登記変更が正確に行われているかを確認。また、使用実態と帳簿処理・契約内容が一致しているかをチェックし、不適切な処理がないかを洗い出します。
【ステップ③】
評価額の確認と見直し 税務評価、実勢価格、収益還元評価などを比較し、「評価額のギャップ」がどこにあるかを把握します。含み益の大きい土地や、逆に過小評価されている物件は、自社株評価に大きな影響を及ぼすため、慎重な評価見直しが必要です。
【ステップ④】
不動産の分類と資産構成の再設計 不動産を以下のように分類します。
(1)事業用中核資産(法人で保有継続)
(2)投資・収益資産(法人or管理会社保有)
(3)遊休・低収益資産(処分または活用) 分類に応じて、保有目的や最適な名義形態を設計します。
【ステップ⑤】
承継スキームの設計 次に、具体的なスキームを組み立てます。
- 法人から個人への売却・分配
- 資産管理会社設立
- 会社分割・株式移転
- 信託活用による受益権の分離 税理士・司法書士・不動産コンサルタント等の専門家チームと連携し、法務・税務・実務の整合性を確保する必要があります。
【ステップ⑥】
納税資金とキャッシュフロー対策 高額な相続税・贈与税が発生する場合に備え、納税資金の準備方法を検討します。
- 不動産の売却
- 生命保険の活用
- 納税猶予制度の活用
- 金融機関との借入計画 これらを後継者と共有し、資金手当ての道筋を明確にしておくことが重要です。
【ステップ⑦】
後継者との対話・合意形成 最後に、最も大切なのが「後継者との対話」です。不動産は経営資源であると同時に、家族の資産でもあります。次世代の経営者に、現状と課題、承継の選択肢を丁寧に説明し、“ともに進む”という姿勢で準備を進めることが成功のカギとなります。
まとめ
事業承継の主役は「未来の経営者」
事業承継は、単なる「株の引き継ぎ」や「相続対策」ではありません。それは、「未来の経営をいかに安定させるか」という、経営者としての最後の大仕事です。
特に不動産は、その価値の大きさゆえに、間違った判断が税負担や承継トラブルの火種になります。一方で、適切に扱えば、次世代の経営基盤として強力な資産にもなります。
不動産の整理と評価、戦略的な移転、そして後継者との連携。この三本柱を意識した行動計画が、オーナー経営者に求められる“最後の経営判断”と言えるでしょう。
未来の経営者が、安定した地盤のもとで活躍できるよう、今から動き出す——それこそが、真に成功する事業承継の第一歩なのです。
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