定期借地権の活用で相続対策と収益安定を両立する方法
2025/07/02
はじめに
相続税の増税や空き地問題、不安定な不動産市況の中で、「定期借地権を活用した土地の有効利用」に注目が集まっています。
「土地を売らずに貸す」という考え方は、単に収益を得るだけでなく、相続税の圧縮効果や家族間のトラブル防止にも大きく寄与します。
特に首都圏近郊で広い土地を代々所有してきた地主様にとって、土地を守りながら安定収益を確保できる定期借地権は、今後の時代における極めて有効な戦略といえるでしょう。
本記事では、定期借地権の制度概要から、税務・法律・活用方法まで、専門家の視点からわかりやすく解説いたします。
1. 定期借地権とは? ― 一般的な借地との違い
まず、定期借地権制度の基本から確認しましょう。
■ 一般借地権(旧法借地権・普通借地権)
- 借地人に「建物再築」や「更新」の権利が認められる
- 地主側からの解約は極めて困難(正当事由が必要)
- 契約終了後も「明け渡し」が難しいケースが多い
このため、「一度貸した土地は戻ってこない」「子の代まで貸し続けることになる」といった地主側のリスクが問題視されてきました。
■ 定期借地権(平成4年:借地借家法改正により創設)
- 建物を建築する目的で一定期間(一般定期借地権の場合、50年以上)土地を貸す制度
- 契約終了後は借地人に更新権がなく、原則として更地で返還
- 原則として公正証書等による契約が必要
- 自用地より評価が低くなり、相続税評価額が下がる効果
2. 定期借地権が相続対策に有効な理由
理由①:土地評価額の圧縮効果(貸宅地評価の活用)
土地を定期借地として貸すと、その土地は「自用地」ではなく「貸宅地」として評価されます。
路線価方式においては、以下の計算が基本です:
貸宅地の評価額 = 自用地評価額 × 借地権割合の控除
たとえば、
- 自用地評価:1億円
- 借地権割合:60%(→底地割合40%)
の場合、1億円 × 40% = 4,000万円まで圧縮される可能性があります。
→ これにより、相続税額が大幅に軽減されることになります。
理由②:収益安定+土地の「回収」が見込める
普通借地と異なり、定期借地は契約期間満了後、確実に土地が返ってくるのが最大の強み。
それまでの間は地代収入が安定して得られるため、運用と承継を両立できるスキームといえます。
また、返還時に更地で戻るため、次世代で再開発や売却等の選択肢を持ち続けられることも大きな利点です。
具体的な活用事例(首都圏近郊の地主様の場合)
以下、実際によく見られる定期借地の活用パターンをご紹介します。
■ 事例①:商業地の一部をテナントビルへ定期借地(契約期間:60年)
地主:東京都練馬区に約800㎡の商業地を保有する60代男性
活用内容:うち300㎡を地元の医療法人へ定期借地として貸与
借地期間:60年(建物は借主が建設、契約終了後は更地返還)
地代:月額50万円(年間600万円)
効果:
- 相続税評価が約50%圧縮
- 管理の手間なく、安定的な収益を確保
- 医療施設のため、地域貢献としても高評価
■ 事例②:宅地を等価交換+定期借地で再開発
地主:埼玉県川口市で代々2000㎡を保有する地主家
開発方法:一部をデベロッパーに譲渡し、残地にマンション建設
土地のうち800㎡を定期借地とし、地代収入+施設一部の使用権を確保
効果:
- 分譲用地による資産の一部換金
- 定期借地による安定収入
- 複数の子への分割相続にも対応可能に
4. 定期借地の注意点とリスク管理
サブタイトル
■(1)契約内容の明確化が不可欠
- 借地期間、更新不可条項、建物買取請求権の排除などは、必ず公正証書等で明記
- トラブル防止のため、弁護士・不動産コンサルタントとの連携が必須
■(2)土地返還時の対応計画
契約終了時、更地返還が原則ではあるものの、建物の取り壊しや立退交渉に手間がかかるケースもあります。
- 建物譲渡・買い取り交渉の可能性
- 再借地希望者への対応など
→ 初期契約時に返還条件と義務分担を厳密に設定しておくことで、将来トラブルのリスクを軽減できます。
■(3)資金計画と税務上のバランス
- 初期に権利金や一時金を受け取る場合、譲渡所得税や贈与税の対象となることがあるため要注意
- 地代のみで安定収益を得る設計が、相続対策には最も適しているケースが多い
5. 定期借地を活用すべき地主のタイプとは?
定期借地権の活用が特に有効となる地主様の特徴は以下の通りです。
タイプ | 特徴 |
|---|---|
相続税評価額が高い | 都市部・駅近の土地を複数保有している方 |
相続人が複数いる | 分割できない不動産の“共有化リスク”がある |
不動産管理業務を縮小したい | 高齢でアパート管理やテナント交渉が困難 |
売却は避けたいが活用はしたい | 先祖代々の土地を売らずに次世代へ継承したい |
法人化や他制度との組み合わせで戦略的に活用
定期借地権は、他の制度と組み合わせることでさらに効果を発揮します。
■ 法人化(不動産管理会社との組み合わせ)
- 地主自身が所有地を管理法人に定期借地として貸与
→ 管理会社側で建物を建築し、貸付事業を展開
→ 家族に給与を分散しながら所得分散・法人化による節税効果も
■ 信託契約との併用
- 「土地信託+定期借地」スキームにより、相続発生時の混乱防止
- 受益者を配偶者→子へと順次移行する設計も可能
7. まとめ ― 「貸す」ことで土地は守れる
定期借地権は、一見すると「貸すだけ」の地味な選択肢に思えるかもしれません。
しかし、土地を守りながら収益を確保し、相続税の評価圧縮やトラブル回避まで見据えることができる、極めて“戦略的な不動産活用”のひとつです。
相続が数年先に迫っている方、また子や孫への土地の引継ぎを考え始めている方にとっては、定期借地の活用を“土台”とした資産承継戦略が必要不可欠です。
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