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再開発事業と公費投入に関する記事について

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再開発事業と公費投入にについて

再開発事業と公費投入に関する記事について

2024/11/29

再開発事業の意義

共同通信社「【独自】乱立するタワマンに公費1兆円 再開発118地区、住民恩恵薄く」(2024年11月17日付)

2024年11月17日に、共同通信社が「【独自】乱立するタワマンに公費1兆円 再開発118地区、住民恩恵薄く」という記事を掲載しました。

主旨としては、「全国各地の市街地再開発のうち約9割に国や自治体から補助金が投じられ、公費負担の総額は1兆円を超えている。半数以上がタワーマンションが建てられ、主に富裕層向けの物件となっており、巨額の税金を投じる割に公共性や地域住民への恩恵が乏しいとの指摘もあり、街づくりの在り方が問われそうだ」という主張のものです。

ここで取り上げている市街地再開発とは、都市再開発法第2条第1項に規定する市街地再開発事業のことを指しています。

事業の目的としては、「市街地内の、土地利用の細分化や老朽化した木造建築物の密集、十分な公共施設がないなどの都市機能の低下がみられる地域において、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図ることを目的としています。建築物及び建築敷地の整備並びに公共施設の整備に関する事業です。」

そして、事業内容としては、以下の事項を挙げています。

〈1〉地区内の建築物の全面的な除却

〈2〉細分化された敷地の統合、不燃化共同建築物の建築

〈3〉公園、緑地、街路等の公共施設の整備

このようなことから、安全かつ快適な生活空間を創出する総合的なまちづくりを行うものであり、震災時の延焼防止などにも有効なものであることから、非常に公共性が高い事業といえるでしょう。

そして、このような公共性の高い事業であることから、補助率が1/3~2/5となっています。

よって、「公共性や地域住民への恩恵が乏しい」との記事での指摘は、読者に誤認もしくはミスリードに至らせるものです。

市街地再開発事業の実例

西新宿三丁目西地区第一種市街地再開発事業

ここで、弊社事務所の近くで、令和5年2月に事業許可された「西新宿三丁目西地区第一種市街地再開発事業」を取り上げます。

まず概要ですが、

「当地区は、新宿駅から南西方向約1kmの距離にあり、京王線新宿駅と初台駅の間に位置する。街区は、四方を放射5号線(甲州街道)、環状6号線(山手通り)、補助線街路第61号線、十二社通りに囲まれている。
 地区内部は、老朽化した木造住宅が密集し、道路や公園などのオープンスペースが不足した、防災上の課題が多い地区となっている。
 そのため、安全安心な質の高い住環境の整備と土地の有効利用かつ高度利用を図っていく。」

としています。

事業内容

計画内容としては、面積4.6haで、都庁や超高層ビルが林立するエリアから至近で、新宿駅からも徒歩圏内の好立地です。

この地区に、メインは地上62階建てのタワーマンション2棟を建てる計画で、住宅戸数約3,200戸、他に事務所、店舗、保育所、駐車場を整備され、道路・歩行者通路・歩道状空地、緑化施設なども設置されます。ちなみに、建築工事着工は令和7年度、完了は令和14年度を予定しており、総事業費2,387億円のうち、補助金は148億円で、補助率は6.20%となっています。

もちろん都心部での市街地再開発事業なので補助率が低いが、地方はもっと高いのではないか、とのご意見もあるかもしれない。

一方で、地方都市における再開発・タワーマンション建築について問題を指摘する声も上がっており、それはそれとして検証すべきでしょう。

この記事の監修者

佐嘉田 英樹

所属 アテナ・パートナーズ株式会社 代表取締役

職業 プロジェクト・マネージャー、不動産エコノミスト、不動産コンサルタント

資格 不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、1級建築施工管理技士、FP2級

不動産・建築・まちづくりにおける市場分析、事業プロデュース、リスクマネジメント、CREコンサルティングなどを行う。特に高齢者・介護福祉施設分野に強い。

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