G7都市大臣会合と今後の都市・住宅政策の行方
2024/11/22
会合の概要
G7イタリア都市大臣会合
2024年11月3日~4日にかけて、イタリア・ローマでG7都市大臣会合が開催されました。
国内ではあまり報道されていませんが、今後の日本国内での都市・住宅政策にも反映されてくることが予想されますので、本記事ではその内容を解説していきます。
参加国は、G7(日本、カナダ、米国、ドイツ、英国、フランス、イタリア)、EU。オブザーバーとして、経済協力開発機構(OECD)、U7、欧州投資銀行。
テーマは
「ネットゼロ、レジリエンス」
「インクルーシブな都市、アフォーダブルな住宅、歴史・文化」
「イノベーション創出とデジタル化」
だそうです。あまり聞きなれない横文字を多用していることから、理解しづらいところもありますので、意訳しますと
ネットゼロ:大気中の温室効果ガスの排出量と森林吸収量などの除去量を差し引いて正味ゼロとすること
レジリエンス:環境汚染や自然災害からの回復力、気候変動への適応
インクルーシブな都市:すべての人が受け入れられ、それぞれの個性が尊重されながら共生している都市
アフォーダブルな住宅:社会的弱者・高齢者・低所得者でもリーズナブルに居住できる住宅
といったことになるでしょう。
キーワードは
①持続可能性(グリーン):都市緑地認定制度(TSUNAG認定)
②住宅確保(アフォーダブル):高齢者・単身者等に対する居住支援
③デジタル:3D都市モデル(PLATEAU)
詳細の内容については、別の機会に取り上げたいと思います。
今後の政策でグローバル・効果的に取り組むものとして、以下のようなものを挙げています。
①都市緑地への民間投資促進
②土地利用の適切な設計(既成市街地内で持続可能な開発の促進とスプロールの制限)
③都市・農村連携の強化(都市部と農村部のバランスの取れた統合的な地域開発の促進)
④都市の文化的アイデンティティの保全(活用されていない遺産・場所・空間の再利用)
⑤革新的な都市エコシステムと地域の推進力確保
⑥データギャップの解消・ベストプラクティスの共有
日本の場合、少子高齢化、人口減少、過疎地域問題等のより切実な問題に直面しています。持続可能な地域の発展が個人資産の価値の創出に繋がるするようなまちづくりが肝要です。それに付随して、空家・空地問題、耕作放棄地問題も本質は同じで、上述のキーワードの土地利用の適切な設計や都市・農村連携の強化は必須であると思います。
また、今回の「共同行動」のなかでは触れられていませんが、道路・橋梁・給排水管等の社会インフラの老朽化に伴う更新と地方自治体の財政状況などを鑑みると、より抜本的な変革に踏み切らざるを得ない状況になっています。
今後このような政策が打ち出されてくることが予想されることも踏まえながら、弊社もまちづくり、不動産活用プロジェクトの企画・推進を図っていきたいと考えています。
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