相続登記申請の義務化
2024/02/15
概説
令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化
令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されます。
その主旨をまず概説します(法務局のページからの抜粋)。
(1)相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
(2)遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。
(1)と(2)のいずれについても、正当な理由なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。
なお、令和6年4月1日より以前に相続が開始している場合も、3年の猶予期間がありますが、義務化の対象となります。不動産を相続したら、お早めに登記の申請をしましょう。
背景
なぜ制度導入されるのか
所有者不明土地とは、相続等の際に土地の所有者についての登記が行われないなどの理由により、不動産登記簿を確認しても所有者が分からない土地、又は所有者は分かっていてもその所在が不明で所有者に連絡がつかない土地のことです。
国交省の調査によると、所有者不明土地の割合は24%に及び、九州の面積よりも広いと言われています。
管理されずに放置された所有者不明の土地は、周辺の環境や治安の悪化を招いたり、防災対策や開発などの妨げになったりして、大きな社会問題となっています。
そこで、令和3年4月に民法・不動産登記法などの法令を改正・制定し、令和6年4月1日より相続登記申請の義務化が施行されることになりました。
不動産登記制度の見直し内容
相続登記の申請の義務化と「相続人申告登記」制度の創設
「所有者不明土地」の解消に向けて、令和6年4月1日より、不動産登記制度について以下の点が改正されました。
(1)①相続・遺贈により不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請を行う必要があります。
②遺産分割協議が行われた場合は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記を申請する必要があります。
以上、2段階の手続きが発生します。つまり、①の段階で、遺産分割協議が固まっていない状況でも、相続対象物件の存在を知った日から3年以内に登記申請をしなければなりません。
そして、この時点ではすべての相続人が共有している状態ですので、本来であればすべての相続人の戸籍謄本などの資料を用意する必要があります。それではスムーズな相続登記が阻害されてしまうため、簡便な手続きの「相続人申告登記」制度が創設されます。
この制度は、一人の相続人が戸籍謄本等を提出するだけで申出することができる緩和策が執られています。
そして、遺産分割協が固まった段階で、改めて上記②の登記申請をすればよくなります。
付随する制度改正
住所変更登記等の申請の義務化、所有不動産記録証明制度の新設、罰則
相続登記申請の義務化と同時に、所有者不明土地の発生を予防する方策として、次のような制度が導入されます。
(1)住所変更登記等の申請義務化
不動産所有者に対して、住所変更等の変更日から2年以内に変更登記申請を義務化する(令和8年4月1日施行)
また、住基ネットや法務省内のシステム間連携により、法・個人の名義人の住所・氏名などの変更があった場合に、職権で変更登記できるようになります
(2)罰則規定
上記の相続登記と住所変更登記等の申請義務化に伴い、正当な理由がないのに申請を怠った場合には、それぞれ10万円、5万円の過料に処する規定が設けられました。
(3)所有不動産記録証明制度の新設
登記漏れの防止のために、特定のものが名義人になっている不動産の一覧を証明書として発行する制度が新設されます(令和8年2月2日施行)。名寄帳のようなものでしょう。これにより、相続登記が必要な不動産の把握が容易になるメリットがあります。
まとめ
今後の方向性
今回の不動産登記に関連する制度改革に関連して、個人のマイナンバー、法人番号、不動産番号など、番号で個人と物とを紐づけし、それを政府が管理し、納税や不正行為などを監視しようと企んでいることが見え隠れします。
真面目に働き、真面目に納税し、違法行為を行わない一般人にとっては、手続きが増えて面倒になるな、と思われる程度かもしれませんが、所有者不明不動産の問題が存在するのは厳然たる事実です。そのような状況でより適正な不動産の管理、有効活用を検討していく必要があるでしょう。
詳細の登記手続きは法務局や司法書士、不動産の活用方法は弊社アテナ・パートナーズ等の不動産コンサルティング会社にご相談ください。
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