リニア新幹線 (仮称) 神奈川県駅 さがみはらリニアコンサート
2023/10/22
JR横浜線・相模線そして京王相模原線のターミナル駅「橋本」駅に直結する場所で、2027年度に開業目標のリニア中央新幹線の(仮称)神奈川県駅の建設工事が進められています。
この駅は、新たに設置される中間駅(神奈川県、山梨県、長野県、岐阜県)のうち、山梨県~岐阜県駅は地上駅であるのに対して、神奈川県駅は唯一の地下駅。2019年11月に起工式が執り行われ、そこから大掛かりな掘削工事が進められています。駅構造部の規模は、総延長約680m、幅最大約50m、高さ約30m。もともと県立高校の広い敷地であったため、開削工法が採用されました。その開削工事も最深部まで到達し、次ステップであるトンネルシールド工事や駅構造物構築工事に移行するタイミングで、この底面部を活用した仮設コンサート会場で「さがみはらリニアコンサート」が先週末の10月14日(土)開催されました。
弊社が関与するプロジェクトにおいては、開発許可を要する宅地造成工事程度の規模のもので、その中でも切土盛土、地盤改良、擁壁、雨水排水設備、道路舗装などそれなりに多岐の業者と時間・技術力を要するものです。
ところが、この駅工事は”国家プロジェクト”だけあって、規模、工法・技術、関与する業者・職人の数、使用する機材・資材、工期など桁違いなのは圧倒されます。まったく次元の違う工事といえるでしょう。土木工事は、ダム、橋梁、トンネル、河川・海岸護岸、道路・鉄道など幅広く、奥が深いことを改めて実感させられます。
現地では実際に施工管理されている方からの説明やパネル展示などもあり、わかりやすく解説されていて、非常に勉強になりました。その中でも興味を覚えたことをつらつらと列挙したいと思います。
(1)ローム層、砂礫層
あまりいい写真はないのですが、奥の法面で、上部がほぼ垂直なローム層、下部がひな壇状に積み上げた砂礫層。これは側面の法面工・根切山留工にも表れ、上部のローム層はモルタル吹付、下部砂礫層は多分ソイルセメント柱列式連続壁工法といわれる工法とアンカー式の土留め。
ローム層は強度は高いが、一度掘削などでほぐしてしまうと一気に強度が低下する性質がある一方、砂礫層は地盤強度(N値)が高く、基礎杭はこの地盤まで打ち込むことになります。
この基礎杭に関連して、付近のトンネルが地下を通過することによって基礎杭に干渉するマンションなどでは、すでに事業主のJR東海が買収して、解体しているところもあります。
(2)開削工法・切りばり工法
上述のとおり、手前の駅構造部付近は広い作業スペースが確保できているために開削工法、別名”露天掘り”。
その奥のトンネル工事は、櫓のように切りばり式で土留めし、シールドマシーンを推進させるシールド工法。シールドマシンや鉄筋コンクリート製セグメントやシールド工法についての解説展示は別の場所で行われていました。ここから西方面へ向けてトンネル工事を進めるようですが、現時点では未着手のようです。ちなみに東方面は東(町田市)側から掘進されるとのことです。
(3)地下水対策
この場所では砂礫層上部付近に地下水層があり、かなりの水量の地下水が出水しているそうで、遮水性の高い山留めによって地下水が深水し、ボイリング防止のためにポンプアップしています。
また、地下水位の低下によって、周辺地での地盤沈下のおそれもあるため、慎重な調査・監視と施工方法の検討が求められるところです。
(5)コンサート
ちなみにメインイベントのコンサートについて。私は午後の部を見に行きました。JR各社のサークルメンバーが演奏、各地のこのようなイベントに参加しているようです。
私にとっては工事現場の方に興味があったため、今回は割愛させていただきます(演奏されたメンバーの方、ごめんなさい)。
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