「所有者不明土地・建物の管理制度」の活用方法について
2024/07/03
令和5年4月1日施行
不動産の仕事に携わっていると、土地や建物の所有者が行方不明になっている場合や所有者が死亡して相続人のあることが明らかでない場合など、不動産登記簿謄本から特定の不動産の所有者にたどり着けないというケースが少なくありません。これは所有者が住所変更登記をしていない、あるいは死亡しても相続登記をしていない、などのケースで散見され、謄本の所有者欄を見た瞬間、明らかに死亡しているだろうな、相続人が何人もいてその全員の同意を得ることは難しいだろうな、などと直感してしまい、コンタクトを取りたくてもその先に進まないものです。
このような時に使えそうな制度が「所有者不明土地・建物の管理制度」です。そこで、今回はこの制度の概要と活用方法について解説します。
概要
調査を尽くしても所有者やその所在を知ることができない土地・建物について、利害関係人が地方裁判所に申し立てることによって、その土地・建物の管理を行う管理人を選任してもらうことができるようになります。
A 管理人による管理の対象となる財産
所有者不明土地(建物)のほか、土地(建物)にある所有者の動産、管理人が得た金銭等の財産(売却代金等)、建物の場合はその敷地利用権(借地権等)にも及びますが、その他の財産には及びません。なお、区分所有建物については、所有者不明建物管理制度は適用されません。
B 申立権者
所有者不明土地・建物の管理についての利害関係を有する利害関係人が不動産所在地の地方裁判所に申立てをします。 また、地方公共団体の長等には、所有者不明土地法において、所有者不明土地管理命令の申立権を付与する特例が設けられています。
C 管理命令の発令
調査を尽くしても所有者又はその所在を知ることができず、管理状況等に照らし管理人による管理の必要性がある場合には、利害関係人等の請求により、裁判所は管理命令を発令し、管理人としてふさわしい者(弁護士・司法書士等)を管理人に選任します。
D 管理人の権限・義務等
管理人は次のような権限・義務等を有します。
<所有者不明土地・建物の管理人の権限・義務等>
① 管理人は、保存・利用・改良行為を行うほか、裁判所の許可を得て、対象財産の処分(売却、建物の取壊しなど)をすることも可能です。
② 管理処分権は管理人に専属し、所有者不明土地・建物等に関する訴訟においても、管理人が原告又は被告となります。
③ 管理人は、所有者に対して善管注意義務を負い、共有の土地・建物を管理する場合は、共有者全員のために誠実公平義務を負います。
④ 管理人は、所有者不明土地等(予納金を含む)から、費用の前払・報酬を受けることができます(費用・報酬は所有者の負担)。
まとめ
何代にもわたって相続が発生していたり、親族関係が希薄になっていたり、遠隔地の土地・建物だったりした場合、処分・保存・利用・改良行為などを行いたくても、全員の同意が得られず、結局手を付けられないというケースもあると思います。
このような困ったケースで、この「所有者不明土地・建物の管理制度」は活用できそうです。
詳しくは、弊社アテナ・パートナーズにお問い合わせください。
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