不動産の税金を分かりやすく解説!業界のプロが教える
2024/05/07
不動産を取得・譲渡・賃貸・相続等をすると、所有者には様々な税金が課せられます。しかし、この税金がどのように課せられ、いくら支払う必要があるかを理解することは、多くの人々にとって非常に難しいことです。この記事では、不動産にかかる税金について分かりやすく解説します。
目次
不動産の種類とそれぞれの税金
不動産には様々な種類がありますが、それぞれにかかる税金も異なります。まず、土地家屋を持っている場合には、固定資産税や都市計画税がかかります。また、収益物件を所有し不動産賃貸収入を得ている場合には、法人税や個人所得税がかかります。一方、不動産を譲渡した場合には、譲渡所得税が課せられます。さらに、不動産を取得した際には、不動産取得税や登録免許税、相続税・贈与税などの諸費用がかかることもあります。不動産を取り扱う場合には、これらの種類や税金についてしっかりと理解しておくことが大切です。
本稿では、複雑な不動産に関わる税金について、特に個人のケースに絞って概説します。
不動産売買の時にかかる税金
不動産を売買する際には、様々な税金がかかります。
(1)売却
①譲渡所得税・復興特別所得税・地方税(国税・地方税)
まずは、所有する不動産を売却する場合、所得金額(譲渡益)に対して譲渡所得税がかかります。
所得金額は譲渡価額(売買金額)から必要経費(取得費・測量費・造成費用・立退料・仲介手数料・印紙税・登記費用等)と特別控除額を控除して算出されます。また、特別控除額については各種要件や控除額が異なります。この所得金額に対して、20.315%(長期譲渡)または39.63%(短期譲渡)の税率を乗じて算出します。また、譲渡所得税は申告分離課税です。
②印紙税
不動産売買契約書に貼付する収入印紙代で、例えば5000万円の売買契約書には10,000円かかります(令和9年3月31日まで)。
(2)取得
①不動産取得税(地方税)
不動産購入や家屋の新築等の取得時に、固定資産税評価額に対して、土地・住宅家屋の場合0.3%、非住宅家屋の場合0.4%の税率を乗じて算出します。ただし、宅地の場合課税標準額は価格の1/2となったり、住宅用土地や認定長期優良住宅、遺贈などの場合には各種軽減措置を適用することができます。
②登録免許税
登記免許税は、不動産の所有権保存、移転、抵当権設定等の登記を行う際に課税され、売買による土地を取得した際の所有権移転にかかる登録免許税額は、固定資産税評価額に対して1.5%の税率が適用されます(令和8年3月31日まで)。
③印紙税
不動産売買契約書や建築工事請負契約書、住宅ローンの金銭消費貸借契約書など契約書の種類や契約金額に応じて印紙税額が課税されます。
以上が不動産売買にかかる代表的な税金の概要です。売買にあたっては、税金だけでなく、契約書の作成や登記手続きなども必要になるため、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
不動産所有にかかる固定資産税(地方税)
不動産を所有している場合、その不動産に対して固定資産税の納付が求められます。固定資産税とは、土地・建物・構築物などの固定資産に対して課税され、課税主体は市町村です。固定資産税は毎年納める必要があり、税額は固定資産税評価額に税率を乗じて算出します。標準税率は固定資産税1.4%、都市計画税0.3%。
新築住宅、住宅用土地、認定長期優良住宅、遺贈などの場合は各種軽減措置があります。固定資産税の計算方法は市町村によって異なるため、所有不動産の所在市町村に問い合わせる必要があります。
不動産を賃貸した時の不動産所得税(国税)
不動産所得とは、不動産を賃貸した際に得られる収益(家賃収入)を指します。
「不動産所得の金額」は、賃貸料収入、更新料、返還を要しない敷金・保証金、共益費などを合計した「総収入金額」から固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費、管理費等の「必要経費」を控除して得た額です。そのため、不動産所得の計算には、必要経費の項目を確認することが重要です。不動産所得には、様々な税制上のメリットがあり、適切な確定申告を行うことが重要です。
所得税の税率は、他の所得金額の合算した所得金額に応じた税率が適用されます。所得金額が約700万円を超えるようになると、法人税率の方が低くなるため、税金対策の観点から法人化を検討することも有意義です。
不動産相続にかかる相続税(国税)
一定額の資産の相続が発生した場合には、相続税が課せられることがあります。この相続税の計算方法は、非常に重要ですが、少々厄介です。
まず、「遺産総額」に「相続時精算課税適用財産」を合算した額から。「非課税財産」「葬式費用」「債務」を控除した「遺産額」に「加算の対象となる暦年課税に係る贈与財産」を足して、「正味の遺産額」を算出。この正味の遺産額から法定相続人の数に応じた「基礎控除額」を引いたものが「課税遺産総額」になります。
この課税遺産総額を民法の定める法定相続分に応ずる取得金額ごとに税率・控除額を計算して相続税の総額の基となる税額」を算出します。これが相続税額合計です。このように、相続税の計算は複雑であり、専門の税理士や相続専門の弁護士に相談することが大切です。また、相続税を減らす方法もあります。例えば、遺産分割協議書の作成や、相続財産の売却や寄付、生前贈与などが挙げられます。相続税に関する知識を十分に持ち、適切な対策を取ることが大切です。
弊社アテナ・パートナーズ株式会社は、このような相続税軽減のための生前対策の一環として不動産有効活用を提案していますので、お気軽にお問い合わせください。